あっぱれ!「バカで浮気で無責任」発言

 経済産業省の北畑事務次官が「会社のかたち研究会」の中間報告でデイトレーダーについて「バカで浮気で無責任」と発言して問題になった。その発言要旨は2月8日朝日新聞朝刊によると次のようである。

  『会社は、株主ではなく、社長以下の社員、取引先、地域住民が協力し合って利益を生み出す。他方、堕落した株主がたくさん現れてきた。株主は所有者だが、経営能力がなく、いつでも株を売って、離脱できる。デイトレーダーは朝買って夜売り、会社のことは何も考えない所有者というのは納得感が得られない。危ない表現をすると、株主は能力がないという意味ではバカ。すぐに売れるということで浮気者。無責任、有限責任で、配当を要求する強欲な方。・・・・日本は、企業の存続を重視する企業文化がある短期的な利益追求の株主と日本の経営者は違って、いい会社はむしろ株主軽視。配当より内部留保重視が実態だ。会社が株主を選ぶための制度として、種類株式がある。デイトレーダーには無議決権株でいい。最も堕落した株主の典型だ。バカで浮気で無責任だから、議決権を与える必要はない。買収防衛策の一助にもなる。配当で少し優遇して無議決権株を上場したらよいのではないか。』

 私は経済には疎いので本発言の深い意味は分からないが、多分、アメリカのファンド等が、日本の会社の株を買い占めて、株価を吊り上げて、売り逃げするような実態を防止したいと言っているのであろう。

 事務次官が今回のような発言をするのは、多分、問題であろう。証券業界やアメリカの野放しなんでもあり経済を絶賛する連中は、今回の発言をかなり非難しているが、私はあえて「あっぱれ」と褒めたい

 アメリカ絶賛派は、『セブン・イレブンでも物を安く買って、それを高く売って儲けている。ファンドが株を安く買って、高く売るのがどこが悪いのか?』と言う。この論理は明らかにまやかしであり、彼らの本性を現している。彼らは、一軒のセブン・イレブンと小国家1国と同規模の資金力を持つファンドを同じテーブルに置いて論じている。これが彼らの言う自由と平等なのである。数百〜数千万円レベルと数十〜数千億円を同一に論じる無神経さ。社会に与える影響力が全く異なるのを無視するバカさ加減。

 要するに彼らの根底にあるのは、貧乏人も百万長者も権利は同じく与えられているのだから自由で平等だという考えである。自由競争と言う。そんな事があるわけないだろう。百万長者はその資金力で株価操作でも何でも出来るのである。

 投資ファンドは、金に金を生み出させることしか考えていない会社や労働者を金儲けの手段としか考えていない。そこには仕事に対する誇りや社会奉仕の精神も何もない。金のことしか考えない、こんな考え方や組織を日本に持ち込ませてはならない

 北畑事務次官は、また「競輪場か競馬場に行っていた人が(株売買の)手数料が下がったのでパソコンを使って証券市場に来た。最も堕落した株主の典型だ」と発言して、競輪や競馬ファンにも謝ったらしい。競輪や競馬は社会的に認められた博打であるから何も責められるべきでないというのが、マスコミの言い分か!しかし、社会的に認知されているからといって、やはり、博打は博打。私は競輪、競馬はろくでもないことだと思っている。それがまともな神経であろう

 世の中には建前がはびこっている。競輪、競馬に行くことが褒められたことなのか?北畑次官の感覚は正常であると思う。ただ、公務員の立場で公に言うことではないとは思うが。欧米にはポリティカル・コレクトネスと言う考え方がある。偏見を排除した表現を用いようとする動きである。manは女性差別だからmanhole(マンホール)はpersonhole(パーソンホール)と呼びましょうとか。ここまでやるのか?確かに長年根付いた偏見を排除するには、相当な運動が必要とは思うが、一方で建前だけが論じられて、本音が圧殺されている部分もあるのではないか。

 競輪・競馬、宝くじ購入なんか、ろくでもないことである。この批判が許されないとしたらおかしな社会である。建前社会である。言っておくが、私は宝くじを時々買っている。そこで私は自信を持って言う。私はろくでもない人間だと。

(2008年2月16日 記)

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